個人タクシーとして独立する方法

タクシー運転手の働き方には、タクシー会社に勤務する法人タクシーの社員と、独立・個人開業の個人タクシー事業者の2つがあります。

今回は独立するための条件や個人タクシーのメリット、独立に際して必要な心構えをご紹介します。

個人タクシーを開業するための条件

個人タクシーを開業するためには、資格や条件などクリアすべきことがあります。タクシー事業の許可基準は道路運送法、国土交通省の通達「一般旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーに限る)の申請に対する処分に関する処理方針」などで次のように規定されています。

  • 申請日現在の年齢が65歳未満であること
  • 10年以上同一のタクシー又はハイヤー事業者に運転者として雇用されていること
  • 申請日以前10年間無事故無違反であること

この他にも法令遵守状況や資金計画についても細かく規定されています。詳しくは全国個人タクシー協会のホームページに記載されています。

http://www.kojin-taxi.or.jp/taxi/jigyohnushi.html

個人タクシーが稼ぎやすい理由

なぜ個人タクシーは稼ぎやすいのでしょうか?次のような個人タクシーの特長がその理由と言えます。

売上がほぼ給与になる

タクシー会社に勤めているタクシー運転手は、売上がすべて自分の給与になるわけではありません。売上に「歩合率」という約60%の掛目が掛けられた分の金額が給与となります。

たとえば、月の売上が60万円だった場合、歩合率60%を掛けた36万円が会社からもらえる給与です。

個人タクシーには歩合率がないため、ガソリン代や車両維持費、税金等を差し引いた全額が収入となります。つまり、頑張れば頑張るほど自分の給与に反映される給与体系となっているため、個人タクシーが大きく稼ぎやすい環境にあるのです。

タクシー会社での勤務実績がある

個人タクシー開業の条件に「10年以上同一のタクシー又はハイヤー事業者に運転者として雇用されていること」とあったように、即座に個人タクシーとして独立できるわけではなく、10年以上タクシー会社に勤務していた経験が必要となります。

それはつまり、タクシー会社で積んだ経験や実績を持って独立することができるということです。

個人タクシーと法人タクシーで勤務形態に大きな違いはありません。また、お客様も個人と法人を分け隔てて利用されるわけではありません。

運転技術や接客術、稼ぐためのマインドなど法人タクシーでの経験や培った技術があれば、個人タクシーとして独立しても安定した収入を得ることができます。

勤務時間が自由

個人タクシーとして独立すると、法人タクシーよりも自由度が高くなります。

とくに勤務時間については、法人タクシーの場合では、営業所までの通勤や出庫前の車両整備や点検、点呼などの時間があります。個人タクシーの場合は決められた出勤時間がなく、好きな時間から業務をスタートすることができます。

たとえば、「家族と一緒の時間を大切にしたい」「両親の介護が必要」などといった場合でも、自由に休みを取ったり好きな時間に働いたりできるため、突発的な用事があっても柔軟な対応が可能です。

さらに、法人タクシーで培ったお客様の多い時間帯、場所を把握していれば、長時間労働をせずとも短時間で効率的に稼ぐこともできます。

開業サポートも受けられる。

タクシー会社にもよりますが、個人タクシーとして独立する際に、さまざまな開業支援を実施しているところもあります。

たとえば、個人タクシーの開業資金は一般的に200万円程度は必要とされており、なかでもタクシーとして使用する車両の準備にはかなりのコストがかかります。そこで、タクシー会社から車両をリースすることで開業資金を抑え、なおかつ整備や点検、洗車なども営業所でさせてもらえるため、駐車場さえあれば車両がなくても開業が可能です。

他にも、経理などのバックオフィス業務を任せたり、健康診断を受けられたりするなどの支援があります。

車種を自由に選べる

細かいところで言うと、タクシーに使用できる車両をある程度自由に選ぶことができます。

たとえば、富裕層のお客様をターゲットとする場合は、一般的な大衆自動車よりも高級車の方が好まれる場合があります。また、エコカーや電気自動車等を選ぶことで、燃料費を節約することもできます。

内装に関してもお子様連れのファミリー向け、働く女性向けなどバリエーションをもたせたりして、より自由度の高い営業ができるようになります。

個人として独立するなら早めの計画が重要

さまざまなメリットがある個人タクシーですが、高齢になってからの独立は体力面などでリスクもあります。また、法人タクシーでの10年以上の勤務経験、10年間無事故無違反という条件もあるため、若い時期から個人タクシーの開業を視野に入れておくことが重要です。

まとめ

個人タクシー事業者として独立するための条件や心構えについてご紹介しました。

思い立ったらすぐに独立できるわけではありませんが、法人タクシーでの十分な経験と実績を持って独立することで、独立後も安定した収入を上げ続けることが可能です。