地方都市のタクシー事情

月収50万円以上を稼げるタクシー運転手になりたいなら、東京23区内で営業することがもっとも近道です。しかし、さまざまな理由で地方のタクシー会社で働きたいという人も少なくないでしょう。

今回の記事では、地方都市のタクシー事情を東京都心と比較してみました。

 

47都道府県のタクシー運転手の年収比較

日本全国のタクシー運転手の平均年収がどれくらいかご存知ですか?

一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会が2016年に発表した「タクシー運転者の賃金・労働時間の現況」によると、全国のタクシー運転手の平均年収は316万円でした。多いと見るか少ないと見るかは人それぞれですが、問題は47都道府県ごとの平均年収です。

平均年収がもっとも高い東京都は417万円、第2位が千葉県の370万円、第3位が大阪府の358万円と、平均年収のトップ3が日本でも有数の大都市に集中しています。特に東京都のタクシー運転手の平均年収417万円はダントツで、もっとも平均年収が低い山口県の210万円と2倍近い差をつけています。

平均年収だけで見ると、都市部のタクシー運転手は稼ぎやすく、地方は稼ぎにくいという実態が浮き彫りになります。

次に、東京都心と地方都市とで異なるタクシーの営業について解説していきます。

 

東京都心のタクシー営業

都市部のタクシーは基本的に「流し営業」が主流です。流し営業とは、タクシー運転手の自己判断で営業エリアを走行しながら、お客様を探す営業方法です。東京都心の丸の内、銀座などの商業エリア、高級ショッピングエリアなどお客様が多いであろう人口密集エリアでは、多くのタクシーが流し営業をしています。

週末の深夜、終電がなくなった時間帯になれば、都心から自宅のある郊外エリアへ帰るお客様のご利用がピークに達します。また、東京都心は何万人もの人が集まるイベント事も多いため、これもタクシー需要が高まる要因のひとつです。

さらに、東京都心は常にタクシー需要が安定しているため、歩合給のタクシー運転手は大きく稼ぐことができます。稼げる運転手は、多くのお客様を効率的に乗せるための技術を身につけているからです。

ただし、タクシーをご利用になるお客様が多いということは、競合のタクシーも多いということです。同じ時間、同じような流し営業しているようでも、実力のあるタクシー運転手はライバルの倍以上を稼ぎ出します。

流し営業で大きく稼ぐタクシー運転手は、一日の営業でお客様を乗せる数50人以上、走行距離は200~300㎞とも言われています。都心は安定したタクシー需要があるため、たくさんのお客様を乗せることはできても、効率的に稼げるかどうかは運転手の腕にかかっています。

 

地方都市のタクシー営業

東京都心以外の地方都市ではどのような営業が主流なのでしょうか?

地方都市では大きな駅の近くでもない限り、東京都心ほど流し営業をしているタクシーは見かけません。地方都市の営業の主流は「付け待ち」と「配車」です。

 

付け待ちとは

付け待ちとは、駅・ホテル・公共施設等に設置されたタクシー乗り場において、お客様がご利用になるのを待つ営業方法です。代表的な付け待ちは「駅付け」で、主要駅のタクシー乗り場には、自宅へ帰宅されるお客様を待つタクシーが列を成しています。

他にも繁華街の通り、役所や病院などお客様のご利用が見込まれるタクシー乗り場で付け待ちをします。もちろん都市部でも、終電後の駅や繁華街などのタクシー乗り場で付け待ちするケースが多く見られます。

付け待ちはお客様が来るまで待たなくてはならないため、一見すると非効率で無駄な時間が多そうに見えますが、待っていれば必ずお客様を乗せることができます。さらに、流し営業のようにタクシーを走らせながらお客様を探す必要がないため、肉体的・精神的な負担が少なくて済みます。

ただし、多くのタクシーが乗り場に集まると、せっかく何時間も待ったのに利用者が1人だけだったとか、ワンメーターのみのご利用だったとか非効率なこともあります。そのため、経験豊富なタクシー運転手は付け待ちと流し営業を上手に使い分けて効率的に稼いでいます。

このように、付け待ちは運転手の経験や技術よりも運が左右する営業方法です。タクシー乗り場によっては、「優良」と認められた乗務員しか入れない場所や、タクシー会社が駅に入る権利を購入している場合があります。

 

配車とは

配車とは、電話やネットから予約されたお客様の指定の場所へ向かうことです。いわゆる「タクシーを呼ぶ」ですが、最近ではタクシー配車アプリなどの普及により、路上でタクシーを拾うよりも配車サービスを利用したほうが確実にタクシーを捕まえられるとして、広く認知されつつあります。

地方都市の場合は企業や病院などと提携する場合もあるため、付け待ちと並んでタクシー運転手の主流な営業方法のひとつと言えるでしょう。

 

まとめ

地方都市のタクシー事情について、東京都心との比較や営業方法の違いも併せて解説しました。

平均年収だけを見ると、どうしても「東京は稼ぎやすい、地方は稼ぎにくい」というイメージが先行しますが、地方都市でも工夫次第で月収50万円以上を稼ぐことは不可能ではありません。