タクシーの売上をアップさせるコツは、日々の地道な努力から培われます。接客業である以上はお客様の利便性を第一に考えるべきであり、売上至上主義で高速道路を無理やり使ったり、わざと遠回りしたりといった方法はナンセンスです。
今回はタクシーの売上をアップさせるコツのひとつ、タクシーを利用したい「見込み客」を見つけるテクニックをご紹介します。
「手を挙げているお客様を乗せる」では遅い
月収50万円~100万円を稼ぐようなドライバーは、「お客様に手を挙げられる前に乗せる」を日々の乗務で実践しています。なんだか超能力のようなテクニックですが、訓練次第でだれにでもできるようになります。
優れた営業マンは、商品を購入しようかやめようか迷っているお客様に商品を購入させる技術を持っています。これは言わば「攻めの営業」です。
「攻めの営業を」タクシーに置き換えると、たとえば雨の日に濡れながらオフィスビルから駅に向かうか、タクシーを利用するか迷っている人をいち早く見つけ、タクシーに乗っていただくこと。
手を挙げているお客様は、その時点ですでにタクシーに乗る意思を固めている人で、このときのタクシードライバーはわざわざお客様に見つけてもらった「受け身の営業」に過ぎません。
ではどうやって、タクシーに乗るか乗らないかを迷っている「見込み客」をいち早く見つけるのでしょうか?
そのコツは人の「歩く方向」や「視線」がヒントになります。街中の人たちを観察できるようになってくると、お客様の乗りたいというアクションを起こさせる前に「攻めの営業」ができるようになります。
基本はお客様の「歩く方向」と「視線」に注目する
たとえばカフェのホールスタッフは、来店したお客様がテーブルに付き、メニューを閉じた時点で注文を取りに行きます。「メニューを閉じた=食べたい料理が決まった」というサインだからです。
タクシーのお客様にも同じように「タクシーを拾いたいサイン」があります。街中を歩く人のなかに、歩道から車道側に歩いてくる人がいたら要注目です。
車道へ向かって歩いてくるということは、次の3つの行動が予想されます。
- 車道を横断する
- クルマ(一般車両)に乗る
- タクシーを拾う
ただなんとなく流し営業をするのではなく、歩道を歩く人に注意しながら流すことで、見込み客をゲットできるチャンスが巡ってくるのです。
さらに、車道に寄ってくる人の視線にも注意しましょう。クルマが走ってくる方向を見ているのであれば、空車のタクシーが来ていないか探しているということが予想できます。
「歩く方向」と「視線」がタクシーを探しているような素振りであれば、こちらから車道に寄ってお客様と目が合うようにして、手を挙げられる前に存在をアピールするのです。
もちろん、行動が一致したからと言って必ずしもタクシーに乗るというわけではありませんが、予想が外れても損をすることはひとつもありませんし、何度もトライしていくうちに精度が高まっていきます。
なかなか流しの営業で成績が上がらないと悩んでいるドライバーの方がいたら、歩道を歩く人の行動を意識してみてください。
「見る」だけでなく「聞く」
ふたたび、さきほどのカフェのホールスタッフの話を例に挙げましょう。カフェのホールスタッフはお客様から「お水ください」と呼ばれる前に、お客様がお水を飲み干したときの氷の「カラン」という音でお冷を注ぎにいくそうです。
これは耳からの情報でいち早くお客様のニーズに応えるテクニック。タクシーでも同じように耳からの情報、つまり周囲の音を「聞く」ことでいち早く見込み客を察知するテクニックがあります。
夜の繁華街ではタクシーを利用されるお客様を獲得できるチャンスですが、ライバルのタクシーの数も多くなります。ここでも手を挙げているお客様を見つけてからでは、他のタクシーにせっかくのチャンスを奪われてしまいます。
いち早く見込み客に気づくためには、窓を開けて周囲の声などに耳を傾けてください。
たとえば飲食店の前に集まっておしゃべりしている人たちの会話から「この後どうする?」「もう終電無いよね」といった声が聞こえてきたら……営業を仕掛けるチャンスです。
事前の情報収集も重要
乗務開始前の情報収集も、タクシードライバーが見込み客をゲットするための大事な仕事です。
たとえば、たくさんの人が集まるようなイベントの開催が予定されていれば、どこに何時頃に向かうとタクシー利用率が高いかはだれにでも調べられます。さらに、イベントの年齢層にまで着目すると、資金に余裕がある年齢層高めの人が参加するイベントを狙えば、より高額単価に巡り会える確率は高くなります。
まとめ
今回ご紹介した3つのテクニックは、だれにでもできることでありながら、なかなか実践する人はいません。むしろ「だれにでもできること」だからこそ実践者がいないと言ったほうが良いでしょう。
しかし、裏技的にタクシーの売上を上げるようなテクニックはなく、こうした日々の地道な努力が売上アップにつながるのです。