他の業種に比べてブラック企業イメージが根強いタクシー業界。実際にタクシー業界を知らない人に話を聞いてみると、「薄給で激務」「一般企業で働けなくなった人が働くところ」「仕事のトラブルが絶えない」などの意見が出てきます。
果たして、本当にタクシー会社はブラック企業なのでしょうか?
タクシー会社がブラックだと思われる要因
タクシー運転手の仕事がブラックだと思われている要因には、次のような先入観があると考えられます。
- 給料が安いのに長時間労働
- 乗客とのトラブルが絶えない
- ドライバーの平均年齢が高い
タクシー関連の報道などを見ていても、上記のような内容のニュースが流れてくることがありますが、実際にタクシー会社が一般のイメージのようにブラックかと言われると、決してそんなことはありません。
現役で働いているタクシードライバーの多くが「前職よりも稼げている」「自由な時間が多い」といった意見を述べています。
では、実際にタクシードライバーはどのような職業なのか。あまり知られていないポイントをご紹介します。
タクシー運転手の平均年収
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会の報告によると、2016年のタクシー運転手の平均年収は全国で316万円となっています。他の業種と比べると、少し低いイメージがあるかもしれません。
次に都道府県別で見ると、もっとも平均年収が高いところが東京都の417万円です。全国平均と比べると100万円の開きがあります。
実はタクシー利用者は東京23区が特に多く、1回の乗車で支払う料金(客単価)も高いため、必然的に東京都のタクシードライバーの平均年収は高くなる傾向にあるのです。
さらに、多くのタクシー会社は完全歩合制で、売上の約60%がドライバーの給与となります。たとえば月に60万円の売上を上げれば36万の給与がもらえます。
完全歩合制で効率よく稼ぎ、月収500万円以上、月収800万円以上といった、大企業の社員並みの収入を得るタクシードライバーも少なくありません。
タクシー運転手の勤務形態
タクシー運転手の勤務形態は、他の業種に比べるとかなり特殊です。一般的にタクシー会社では日勤と夜勤があり、月の休みは17~19日と多いのですが、一回の勤務時間が平均して20時間(休憩3時間含む)となるため、ペース配分が重要となります。
また、タクシー運転手の多くは完全歩合制で働いているため、頑張れば頑張るほど稼げます。ただし、疲労が溜まった状態での運転は非常に危険です。休憩時間や休みの日はしっかりと休憩を取り、体を休める必要があります。
一回の勤務時間が長いため、体力的にも精神的にも疲労は免れませんが、1日の営業時間の間でペース配分を考えながら働けば、少ない労力で最大の売上を達成することも可能です。
タクシー運転手の待遇
タクシー会社にもよりますが、基本的にタクシードライバーの福利厚生はしっかりしています。たとえば、自分自身の生活に直結する社会保険はもちろん、労災保険や雇用保険といった各種保険も完備されています。
タクシー未経験者には二種免許取得の費用を会社が負担したり、路上で営業できるようになるまでサポートしてくれたりと、教育制度も充実しています。
さらに、給与体系も完全歩合制のほかに、基本給+歩合給+賞与を設けているタクシー会社もあります。とくに未経験でタクシードライバーになった人、ドライバーの経験が浅い人にとっては嬉しい数ヶ月の給与補償を付けている会社もあるので、タクシー会社選びの参考になさってください。
タクシー運転手は自由な時間が多い
タクシードライバーの最大のメリットは、自由な時間が多いことです。基本的に路上に出てしまえば一人で営業することになるため、どれくらい仕事をするか、いつ休むかはドライバーひとりひとりの裁量に任されます。つまり、自分のペースで仕事をしたいという人にとって、タクシードライバーはもっとも適した仕事と言えるのです。
さらに、一人で仕事をするということは、一般の会社組織にありがちな上下関係などに縛られることがなく、のびのびと働けるということでもあります。タクシー会社には社内の競争がなく、むしろみんなで売上を上げていこうという雰囲気ああるため、悠々自適に仕事をしているタクシードライバーが多いという特徴があります。
まとめ
タクシー会社にまつわる「ブラック企業」という誤解は、メディアで発信されるイメージが先入観としてあり、業界内の実情を知らないための漠然としたイメージと言えます。
実際にタクシー会社に転職して働いている人の多くは、タクシー業界がブラックだと思っている人はいません。ただし、なかには社員にブラック同然な待遇をする悪質なタクシー会社もいないとは限りません。
これからタクシー会社への転職を目指す人などは、しっかりと求人情報をチェックして、自分に合った働き方できるところを見極めてくださいね。