タクシードライバーは一般的な会社員や公務員と違い、歩合の要素が強い仕事です。歩合制は働く本人の技量によるところが大きく、あまり稼げない月もあれば大きく稼げる月もあります。
今回はタクシーの歩合制についての基本的な知識と、歩合で大きく稼ぐためのポイントをご紹介します。
タクシーの歩合制3タイプ
タクシー会社の給与体系は次の3タイプです。
- A型賃金
- B型賃金
- AB型賃金
タクシーの給与体系は基本的に歩合制で、完全歩合制か基本給+歩合給かの違いがあります。タクシー会社によって採用している給与体系は異なりますので、就職・転職の際には自分の働き方に合った給与体系を選ぶことが大切です。
それぞれの給与体系について詳しく説明します。
「固定給+歩合給+賞与」のA型賃金
「固定給+歩合給+賞与」で構成された給与体系です。一般企業ではよくある給与体系ですが、現在のタクシー業界ではほとんど採用されていません。
A型賃金は固定給が設定されているため、売上が伸び悩んでも最低限の給与はもらえるというメリットがあります。ただし、歩合給の部分が小さいため、売上を大きく伸ばしてもドライバーの給料としてもらえる部分も小さくなってしまいます。また、タクシー会社によっては1ヶ月の売上ノルマを下回ると、固定給の部分が減額されるケースもあるので注意が必要です。
「完全歩合」のB型賃金
B型賃金は「完全歩合制」で、月間の売上にタクシー会社が定めた「歩合率」を掛けた金額がそのままドライバーの給料にあてられます。「月間の売上×歩合率」という非常にシンプルな計算方法ですので、売上を伸ばせば伸ばすほどドライバーがもらえる給料も大きくなります。3つの給与体系の中ではもっとも稼げる可能性があり、ある程度経験を積んだドライバーが好む給与体系です。
一方、タクシー会社側としてはドライバーの売上が大きければ会社の売上も上がり、ドライバーの売上が少なくても固定給を支払う必要がないため、ローリスクハイリターンの給与体系とも言えるでしょう。
しかし、十分な売上がなかった月はドライバーの給料がかなりダウンするというデメリットがあります。ハイリスク・ハイリターンでもしっかりと稼ぐ実力のあるドライバーこそ活用したい給与体系です。
「A型賃金とB型賃金のいいとこ取り」のAB型賃金
AB型賃金はA型賃金の固定給と賞与、B型賃金の完全歩合制それぞれの要素を併せ持つ給与体系で、現在多くのタクシー会社が採用しています。固定給+歩合給+賞与という構成はA型賃金と同じですが、毎月の固定給+歩合給から一定の割合が年に2~3回の賞与の積立分として引かれます。
AB型賃金の例
- 今月の売上:60万円
- 固定給:18万円
- 歩合率:60%
- 毎月の積み立て:15%
今月の給与は60万円×(60%ー15%)+18万円=45万円となり、60万円の15%にあたる9万円が賞与分に積み立てられます。
AB型賃金は毎月安定した給与をもらいながら、ドライバーの頑張り次第で大きく給与を伸ばすことができるというメリットがあります。ただし、タクシー会社によって歩合率や積立率が異なりますので、事前に問い合わせるなどして詳細を確認することをおすすめします。
歩合率について
月間の売上に歩合率を掛けた分がドライバーの月の給料に反映されます。
タクシー会社によって歩合率は異なり、おおよその相場は50%~60%となっています。たとえばB型賃金のタクシー会社の歩合率が60%であれば、ドライバーの1ヶ月の売上が80万円だったときは、売上に60%の歩合率を掛けた48万円がその月の給料にあてられます。
ただし、歩合率が高いからと言って必ずしも稼ぎやすいとは限りません。結局、稼げるかどうかはドライバーの頑張り次第ですので、数字にこだわり、常に高い意識を持って仕事をすることが大切です。
月収50万円以上を稼ぐポイント
売上を上げれば必然的に1日の給料、月収、年収が上がります。売上を上げるためのポイントは次の3つです。
- 営業回数
- 勤務時間(勤務日数)
- 客単価
このうち、大きな変動がないのが客単価です。東京都内の客単価の平均はおよそ1500円とされています。
1日あたりの平均営業回数を30回とすると、1日の売上は1500円×30回=4万5000円です。月に12日出勤すれば4万5000円×12日=54万円が月間の売上となり、歩合率60%を掛けた32万4000円がドライバーの給料となります。
この32万4000円の給料を50万円にするためには、運要素の強い客単価や会社の規定に下側無くてはならない勤務時間(勤務日数)よりも、営業回数を上げることが重要です。
まとめ
世間的に見て、歩合制はあまりポジティブなイメージで受け取られていない風潮がありますが、実際はタクシー会社が不当に搾取しているようなものではなく、すべてはドライバーの努力次第と言えます。
貪欲に数字を追求し、売上を上げるための独自のメソッドを考えられる人こそ、就職や転職には歩合制のタクシードライバーがおすすめです。