ニュース解説![]() 体細胞クローンってどんな技術なの? 体細胞クローンは、動物の体細胞から核を採取し、核を取り除いた未受精卵に移植して、親と同じ遺伝子を持つ子を作り出す技術です。この技術を使えば、肉質が高い牛や豚、乳量が多い乳牛などの大量生産につながる可能性があり、コスト低減に役立つかもしれないといわれています。 国内では2008年9月末までに、牛557頭、豚335頭が誕生しています。このうち、牛82頭、豚35頭が育成・試験中です。米国や欧州連合(EU)、オーストラリア、中国などでも誕生しています。 【写真説明】凍結保存した種雄牛の臓器から誕生した体細胞クローン牛(2009年1月8日、岐阜県高山市の県畜産研究所で) 国はどういう検討をしてきたの?食べても大丈夫なの?
内閣府食品安全委員会は、2008年4月から厚生労働省から諮問を受け、同委員会は専門家で作る作業部会の新開発食品専門調査会ワーキンググループ(座長=早川堯夫近畿大学薬学総合研究所所長)で科学的な知見から検討してきました。作業部会は最終的にこの1月19日に「従来の繁殖によるものと同等の安全性を有する」と評価した報告書をまとめました。
今後ですが、食品安全委員会は国民の意見も聞いた後に最終判断して、年内にも厚労省に答申する予定です。食品として流通させるかは、厚労省が答申を踏まえて判断することになります。専門家は「安全」といっていますが、誕生直後の死亡率が高いなどの理由で、消費者からは食用にすることに不安の声が強く上がっています。 人間が生命を操作するわけだから、ちょっと怖い気がしますが…、食品として流通する可能性はありますか?
食品安全委員会で最終的に「安全」と判断しても、すぐに国内で流通するわけではありません。でも、安全性評価という1つの階段を上ったといえますので、食品として流通する可能性も将来的には出てきます。
米国とEUでは2008年、体細胞クローン牛・豚由来の食品について「安全性に問題はない」という報告書をまとめています。ただ、厚労省は「米国、EUとも市場に流通しているとの情報は得ていない」としていますので、これまでのところ、各国とも食品としては流通していないようです。 将来的に食品としてスーパーの店頭で並んだらどうしましょう?
食品として流通するには、科学的な知見だけでなく倫理面や社会的な知見からも十分な検討と慎重な対応が強く求められています。表示制度も重要な検討課題になるでしょう。また、日本が流通を規制していても、海外で解禁されたら、体細胞クローン由来の食品が日本に輸入されることも想定されます。このため、食品安全委員会が行う、国民に意見を求める「パブリックコメント」に意見を出すことなども重要になってきます。
そうね。消費者の声をきちんと届けることも大切ね。転載、複写を禁じます。本文・写真の著作権はすべて日本農業新聞に帰属します。
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